
オイスターソースコンテスト応募作品ホタテ
古くから陸奥湾にはホタテが生息しており、10~20年に一度というスパンで大量発生するという状況が続いていました。このような自然発生に依存していた時代は、漁獲量も激しい変動の繰り返しだったため、安定した生産を確保することが長年の念願でした。採る漁業からつくり育てる漁に転換し、ホタテ育苗生産に取り組んだ豊島友太郎氏をはじめ、多くの方の尽力で養殖技術が発達し、種苗の量産化、計画生産が可能となり、平内町のホタテ漁業は飛躍的に発展しました。
ホタテは陸奥湾の水温が上昇し始める3月の中旬から下旬にかけて産卵・放精をして、約40日間プランクトン生活をした後、4月から5月にかけてタマネギ袋に合成繊維を入れた「採苗器」に付着します。このときのホタテの大きさは0.3ミリほどです。
7月の下旬には「採苗器」に付着したホタテの大きさは約9~10ミリに成長しています。ホタテは高温や酸素不足に弱いため、夏の日差しを避けるため船の上にはシートを張り、稚貝を「採苗器」から養殖用の「篭(パールネット)」に移し替えます。
夏に採取した稚貝は、9月下旬~10月下旬には大きさが20~25ミリに成長しています。さらに成長を良くするため、「篭(パールネット)」を新しいものに変えて、稚貝の収容密度を少なくします。
海底で自然の状態で生育させる地まき放流は、雪が舞う11月下旬~12月中旬に行われます。約3~4センチに成長したホタテの稚貝は、1平方メートル当たり6個の密度を目安に海に帰されます。
ホタテの耳の部分に穴を開けて糸を通し、ロープに結び、海に吊るす耳吊り作業は、1月下旬~4月上旬に行われます。この方法によって養殖のホタテは天然物に比べ砂が入らないというメリットが。天然物は地面で生息しているため、砂を食べたりして体内に砂を含んでいるものが多いのです。
ホタテの出荷は、早いもので生後約1年の貝から行われます。養殖したものは生後1年から2年半の貝まで、地まき放流したものは2年から4年の貝まで出荷が行われます。
ホタテは本来、海底で生活するのが自然ですが、これを海中の施設(篭に入れるか、吊下げるか)で育てるのが垂下養殖と呼ばれる方法です。陸奥湾の養殖方法には、延縄(はえなわ)式施設に吊り下げられたパールネット(角ネットとも呼ばれ、7~10個連結)や丸籠(アンドン籠と呼ばれ、主に10段に仕切られている)にホタテ貝を入れて育てる方法や、ホタテの貝殻に穴をあけアゲピンで吊り下げる耳吊りの3つの方法があります。養殖漁場(区画漁業権漁場)は、岸からおよそ5,000~6,000mまでで、その面積は約50,000haとなっています。
また、古くは杉の葉による卵子の付着だけに頼っていたものを、タマネギの袋を上からかぶせる事によって、杉の葉から落ちる稚貝を高い確立で回収する事に成功しました。ホタテ養殖とタマネギ袋は切っても切れない関係があるんです。
イラスト:農林水産省
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陸奥湾は外海のように大きな波が来ることもなく、しけの影響をあまり受けません。さらに、山から流れ込む水が植物プランクトンを多く含み栄養価の高い陸奥湾の水がホタテを美味しくしています。
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