interview

陸奥湾のホタテを使ったネイルポリッシュ「CYAN(シアン)」の開発ストーリー

2025.10.29 | インタビュー

近年、ホタテをはじめとした貝殻のアップサイクルが注目されています。環境に優しい素材として、洗剤や消臭剤、肥料や建材の一部などその活用方法は多岐に渡ります。
1970年の創業以来、ホタテの養殖から加工・販売までを行う株式会社山神(青森市)では、2022年からホタテの貝殻を使用した自然由来のネイルポリッシュ「CYAN(シアン)」の販売をスタートしました。今回は開発に携わった同社の玉熊亜美さん、相澤理恵さんに商品の魅力や開発時のエピソードを伺いました。

ゼロベースからの船出

青森県では年間約5万トンものホタテの貝殻が産業廃棄物として排出されています。同社でも「大量に廃棄され続けるホタテの貝殻をなんとか有効活用できないか」という課題をずっと抱えていました。そこで、2021年に廃棄貝殻のアップサイクル事業をスタート。部署や役職も違う女性6人が集まり「何を作るか」を考えるところからプロジェクトが始動しました

「日常の中でちょっと特別感を感じてもらえるようなものがあったら素敵だよね、という会話をよく会議中にしていました」と相澤さん。「当社の水産加工部門は女性が多く、職業柄ネイルを楽しむのはやっぱり難しくて。そこで簡単に剥がせるネイルだったら従業員も喜んでくれるのでは、というアイデアがネイルポリッシュをつくるという決め手になりました。うちのホタテの貝殻からできているので愛着も湧きますしね」。こうしてプロジェクトの第一弾として、自然由来で人にも環境にも優しい1dayネイルポリッシュが開発されることに。

人にも環境にも優しいネイルポリッシュを目指して

「最初は本当に手探りでした」と当時を振り返る玉熊さん。「配合する成分なども担当の方に、これでもかというくらい聞きました(笑)。でも、自分たちが分からないものや、有害となるような成分は入れたくなかったので、一つひとつ丁寧に確認しながら進めていきました」。

誰にとっても優しいを目指したネイルポリッシュは、ホタテの貝殻が大事なファクター。手間暇をかけて細かい粒子上のパウダーにしたホタテの貝殻は、液体に粘り気を生むので石油系の有機溶剤が不要に。お湯につけて簡単にオフできるので除光液もいりません。さらに驚くほど臭いがないのでお子さんと一緒に楽しみたい方や、ペットを飼っている方にも高評価をいただいているそうです。
※トルエン、フタル酸ジブチル、カンファー、キシレン、ホルムアルデヒド、スチレン、パラベンという7つの有害物質は不使用です。

陸奥湾の表情をカラーテーマに


ブランド名にもなっている「CYAN(シアン)」は英訳すると「やや緑みの明るい青色」のこと。「ネイルポリッシュを通じて青森を感じて欲しかったので、陸奥湾にちなんだテーマカラーにしています」と相澤さん。フラッグシップカラーとなる「水縹(みはなだ)」は、はるか彼方まで広がる紺碧の海をイメージ。表現したい陸奥湾の写真を何枚も送り調色を繰り返し行ったそうです。


この水縹を含む卯波(うなみ)、海明(うみあかり)、橙海(とうかい)、海月(うみつき)の初期の5色はインスタグラムで募集したアンケートをもとに決定したそうです。商品名は日本の伝統色から着想を得ており、時間経過とともに変化する陸奥湾の表情との親和性を大切にしています。
現在は、澄桜(きよら)、海松(みる)、深音(しおん)、水浅葱(みずあさぎ)の4色を加え、全9色のバリエーションを展開しています。

これからもホタテの貝殻の付加価値を追求

「廃棄されるホタテの貝殻にも付加価値を付けて商品化することで、皆さんに喜んでもらえるアイテムを今後もつくっていきたいですね」と語ってくれた相澤さん。現在、山神ではアップサイクル製品として「CYAN」のほか、万能洗剤である「ホタテノセンザイノウリョク」も発売中。「自然の豊かな恵みを活かした”ものづくり”を通じて人々の暮らしに貢献したい」という同社の企業理念のもと、挑戦を続ける山神の新たなプロダクトに注目してください。
今回ご紹介したCYAN ナチュラルシェルネイルは各種1,850円(内容量:9ml)。オンラインショップまたは県内や東京、大阪などのセレクトショップで購入可能です。詳しくはインスタグラムをチェックしてください。

プロフィール

玉熊亜美(たまくま・あみ)。株式会社山神 総務部総務課リーダー。新年会や社員旅行といったイベントの企画・手配をはじめ、日常的な事務や社内調整まで幅広く担当。一つひとつの仕事を通して、会社全体が気持ちよく循環するよう奮闘している。
相澤理恵(あいざわ・りえ)。株式会社山神 商品企画開発課長。宮崎県出身。結婚を機に青森へ移住。現在は商品企画開発部門でホタテの加工品の商品開発にも携わっている。おすすめは貝柱をふんだんに使ったぜいたくな「ほたて飯の素」とのこと。


<お問い合わせ>

株式会社 山神
〒 038-0059 青森県青森市大字油川字岡田262-5
TEL:017-763-3380

山神webサイト
https://hotate-yamajin.co.jp/
山神オンラインショップ
https://cyan-shell.shop/
公式インスタグラム
@hotate_yamajin


この記事を書いた人
ひらないホタテ貝議事務局 ディレクター 門脇寿英

平内町の漁師

青森市から車で約30 分、下北半島に囲まれた場所にある平内町。陸奥湾の恵みで育った「平内ホタテ」は養殖ホタテでは生産量日本一を誇り、とにかく甘味が強いのが特徴です。
陸奥湾は外海のように大きな波が来ることもなく、しけの影響をあまり受けません。さらに、山から流れ込む水が植物プランクトンを多く含み栄養価の高い陸奥湾の水がホタテを美味しくしています。

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